砂川歯科袖ヶ浦医院

食べることの大切さ(乳幼児篇)

THE IMPORTANCE OF EATING食べることの大切さ(乳幼児篇)

 丈夫な歯でおいしく食べて、健康に生きるということは、実はお母さんのお腹の中にいる胎生期から始まっています。ただ、妊娠中は自分が食事のバランスを考えればよいわけですから、それ程負担に感じないものです。しかし出産後の食事は実際に自分が子供に用意することになるので、お母さん方は悩まされるのです。今日本は核家族化が進み、おばあちゃんや親から直接教わる機会に恵まれなくなってきたこともあり、どうやって子育てをしていったらよいものか迷っている方が増えてきています。

 ここでは、出産後の食事について、子供の時期に分けて説明してみようと思います。特に乳幼児期の食事について、注意することを目標・調理形態・進め方・献立、調理のポイントに分けてまとめてみました。子供の食事で大変なのは、家族とは別の食事を別の時間に作ることにあります。そしてどのような形状に加工したらよいのか分からないことです。意外と歯の萌出状況と照らし合わせてみると理解ができるものです。そして摂食機能に見合った食形態のポイントをしっかり抑えながら、大人の食事から応用することで、負担を軽くしましょう。それぞれ子供に合った初期食、中期食、後期食と三段階の再調理で説明しましたので少しでも毎日の食事の参考にもらえれば幸です。

 私たちも日々、勉強している段階です。お母さん方から楽しいアイデア料理がありましたら、是非教えてください。レシピー集をどんどん公開していきたいと考えております。

初期食 5~6ヶ月(ごっくん食=嚥下機能訓練食)レシピ一集

目標 唇を閉じて飲み込む。
調理形態 ドロ状~ベタ状の粒の無い均一なペースト。
進め方 1日に2~3回経口摂取できるようにする。
ペースト食は食べることにエネルギーを使うので、1回の食事が40分くらいで食べ終わる量にする。
ドロ状~ベタ状へと機能に合わせて、ペーストを固くしていく。
舌が上下に動くようになったら、押しつぶせなくては食べられない、ごく柔らかい野菜を少量添え、中期の移行食として試みる。
献立・調理のポイント献立/調理
ポイント
粒がなく、均一で適当な粘稠度のあるペースト食にする。
おいしいペースト食にする。
どの皿も同じ色にならないように色彩のきれいな盛り付けにする。
主食・主菜・副菜の組み合わせでバランスの良い献立にする。
脂肪の吸収、消化に問題がなければ、バター・油・生クリーム等を利用し、カロリーアップをする。
多めに作り、小分けをして冷凍する。
大人の食事を活用して、調理時間を短縮する。
ミルサー、ミル等の器具を使い、短時間で粒の無いペーストにする。

中期食 7~8ヶ月(もぐもぐ食=押しつぶし機能練習食)レシピ一集

目標 唇で食べ物を取り込む。前方部で口蓋ひだに食物を押し付けてつぶすことができる。
調理形態 やわらかいほぐし食
進め方 かゆやパンかゆの粒にむせなくなったらはじめる。プリンやゼリー等柔らかいものを丸のみせず、おしつぶして食べられようになる。
プリンやゼリー等柔らかいものを丸のみせず、おしつぶして食べられようになる。
献立・調理のポイント献立/調理
ポイント
舌で押しつぶせる位の柔らかさまでよく加熱をする。
汁気のあるうちに火を止めて蒸らし、汁を十分に吸い込ませる。
薄すぎず、大きすぎず、5~8ミリ位の大きさに切る。
豆腐や根菜類以外の食材は、十分火を通してからフードプロセッサーやカッターでベタ状に切る。
盛り付けてから、とろみのある煮汁、スープ、トマトソース、ホワイトソースをかけ、
ボソつかないようにする。

後期食 9ヶ月~1歳(かみかみ食=咀嚼機能訓練食)レシピ一集

目標 舌がよく動いて、口の中に散らばる食物をまとめることができる。前歯で食物を噛み切ることができる。あまり硬くない食物を奥歯でまとめながら噛める。
調理形態 やわらかいほぐし食
進め方 少しずつ硬さを増していき咀嚼の練習をする。食物を前歯で噛み切らせ、食物の大きさや硬さを十分感知させる。
食物を前歯で噛み切らせ、食物の大きさや硬さを十分感知させる。
献立・調理のポイント献立/調理
ポイント
普通より柔らかいが、舌でつぶせない程度の硬さにする。
薄すぎず、大きすぎず6~7ミリ程度の大きさにする。
口の中でぱさつくもの、繊維質の硬いものは避ける。
不適切な食品は練り製品、こんにゃく、ごぼう、ぜんまい、生野菜など。
自分で持って噛み切れるフレンチポテトやパンの耳などを用意し、前歯で噛み切って食べさせる。